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二重特異性チロシン(Y)リン酸化制御キナーゼ(DYRK)ファミリー

二重特異性チロシンリン酸化制御キナーゼ1A(DYRK1A)は、ダウン症候群の発症と密接に関連する重要なプロテインキナーゼであり、進化的に高度に保存されている。DYRK1Aは、神経発生、細胞増殖および分化、腫瘍形成といった生理学的プロセスに関与するほか、神経変性疾患の病態形成にも関与する。さらにDYRK1Aは、他の疾患における病態形成およびシグナル伝達経路の制御においても重要な役割を担う。

DYRK1Aのタンパク質構造。図1.DYRK1Aのタンパク質構造。

DYRK1Aの分子構造および遺伝子マッピング

DYRK1AはDYRKファミリーに属する。DYRK1Aは進化的に高度に保存されている。哺乳類ではDYRKファミリーに5つの異なるサブタイプが存在するが、このファミリーの中でDYRK1Aのみがヒト21番染色体のDSCR領域に位置する。DYRK1Aはdyrk1a遺伝子により発現し、コードされる成熟タンパク質は763アミノ酸から構成され、プロテインキナーゼドメイン(Protein Kinase Domain)に加え、Poly-Ser、Poly-His、Ser/Thrリッチ領域などの特異的構造を含む。DYRK1Aは分子内のチロシン残基を自己リン酸化し得るほか、外因性基質に作用する特定配列を直接認識して基質をリン酸化することもできる。

DYRK1Aの細胞内局在および組織分布

DYRK1Aは胚発生初期に高発現するが、胚発生後期には発現が低下する。DYRK1Aの組織における発現分布は広範であるものの、小脳、嗅球、海馬で特に豊富であり、細胞内では核に最も多く局在する。DYRK1Aは進化的に非常に保存された核タンパク質である。

DYRK1Aの分子機構および生理機能

プロテインキナーゼとしてDYRK1Aは非常に広範な基質スペクトラムを有する。報告によれば、DYRK1Aの基質は核内および細胞質タンパク質の双方に及び、転写因子(NFAT)、スプライシング因子(cyclin L2)、翻訳因子(eIF2Be)、接合関連タンパク質(dynamin I)、ならびにその他のエフェクタータンパク質(caspase-9)などが含まれる。基質の多様性は、本タンパク質の生理機能の多様性を反映している。DYRK1Aが複数のシグナル伝達経路(Wnt、Notch)において重要な役割を果たすことを示すエビデンスがある。研究により、DYRK1Aの基質となり、その制御を受けて細胞内の多様な生物学的プロセスに関与する重要タンパク質が多数存在することが示されている。例えば、DYRK1Aはサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27kip1のSer-10部位を直接リン酸化してp27を安定化し、細胞内含量を増加させる。p27はcdkn1b(cyclin-dependent kinase inhibitor 1B)によりコードされる細胞周期制御タンパク質であり、活性化後に細胞周期を停止させ得る。さらにDYRK1AはCyclin D1のThr-286部位を直接リン酸化し、Cyclin D1の分解を促進して細胞内含量を低下させる。Cyclin D1は細胞分裂の正の制御因子であり、NOTCH経路を介して細胞周期を制御する。DYRK1Aは、細胞周期関連基質のリン酸化を通じて細胞増殖および分化を調節し得る。

結論

近年、DYRK1A分子の機能研究および作用機序の解明は大きく進展している。しかし、なお解決すべき課題は多い。DYRK1Aはシグナル伝達経路に対して直接的に作用するのか、あるいは間接的に作用するのか。DYRK1Aが異なる腫瘍形成において果たす役割は、その基質のみによって規定されるのか、それとも他のシグナル伝達経路がより広く関与するのか。さらに、特異的な末端構造がプロテインキナーゼ活性にどのように影響するのか。これらの課題の解決は、分子生物学的機能の分子機構を解明する上で重要な意義を有する可能性がある。DYRK1Aの分子機構の解明は、腫瘍関連疾患の予防および治療にとって深い意義を有する。

参考文献:

  1. Park J; et al. Two key genes closely implicated with the neuropathological characteristics in Down syndrome: DYRK1A and RCAN1. BMB reports, 2009, 42(1):6-15.