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包括的な技術情報

GCN2サブファミリー

GCN2(Generally Uncontrollable 2)は、非荷電のトランスファーRNA(tRNA)に結合することでアミノ酸欠乏を感知するセリン/スレオニンタンパク質キナーゼである。GCN2は、Saccharomyces cerevisiaeにおいて知られている唯一の真核翻訳開始因子2α(eIF2α)キナーゼであり、アミノ酸代謝の制御において重要な役割を担う。アミノ酸枯渇条件下では、eIF2αのセリン51をリン酸化することによりeIF2αを不活化し、一般的なタンパク質合成を抑制する。一方で、コード領域上流の配列により、選択的mRNA(GCN4など)の翻訳が促進される。GCN4レベルの上昇は、主要20種類のアミノ酸すべての合成に必要な酵素をコードするアミノ酸生合成遺伝子の発現を誘導する。

GCN2 subfamily 図1.セリン/スレオニンタンパク質キナーゼGCN2。

制御機構

アミノ酸が豊富な細胞では、GCN2は577位セリンのリン酸化により不活化状態に維持され、これはTORC1活性に依存すると考えられている。ラパマイシンによるTORC1の不活化はGCN2に影響し、少なくとも一部はセリン577の脱リン酸化に影響を及ぼす。GCN2に対する第2の刺激入力はGCN1/GCN20複合体によって与えられる。GCN1/GCN20は、リボソームへのtRNA結合に重要な因子であるeEF3と構造的類似性を示す。GCN1/GCN20複合体は、GCN2のN末端に結合することでGCN2と物理的に相互作用する。GCN1/GCN20は、リボソームA部位からGCN2のHisRS様ドメインへのtRNA移送を促進すると考えられている。本タンパク質の第3の制御様式として、保存性タンパク質IMPACTを介した制御があり、IMPACTは酵母、線虫および哺乳類においてGCN2阻害因子として機能する。

機能

GCN2は、アミノ酸欠乏後15分以内にeIF-2αのセリン51をリン酸化することで全般的な翻訳を抑制し、その後、グアニンヌクレオチド交換因子eIF2Bのリン酸化eIF-2αに対する親和性を高めることにより、翻訳開始に必要なeIF2、GTPおよび開始Met-tRNAの配列(供給)を低下させる。リン酸化αサブユニットを含むeIF2は、唯一のGEFであるeIF2Bに対する親和性が増強されるが、eIF2BがGTPをGDPと交換できるのは非リン酸化eIF2に限られる。したがって、三者複合体(TC)形成に必要なeIF2サイクルはeIF-2αのリン酸化により阻害され、最終的に全体の翻訳速度が低下する。TCの利用可能性低下がもたらす逆の効果として、翻訳制御を介したGCN4発現の誘導が起こる。GCN4 mRNAのリーダー領域には4つの短いORFが存在する。5’側mRNAからスキャンしてきた40SリボソームサブユニットはTCと結合し、第1上流オープンリーディングフレーム(uORF)を翻訳する。非飢餓条件下では三者複合体が十分に存在するため、サブユニットはuORF4に到達する前に再結合でき、再度翻訳開始が起こってuORF2、3または4が翻訳され、その後40SサブユニットはGCN4 mRNAから解離する。飢餓条件下ではTC量がさらに低下する。一部の40SサブユニットはuORF4に到達するまでにTCを再結合できないが、最終的にGCN4コード配列に到達する前にTCを再結合する。したがって、アミノ酸飢餓により誘導されるGCN2活性化はTC形成の低下を介してGCN4翻訳の誘導をもたらす。GCN4は、General Amino Acid Control(GAAC)と呼ばれるアミノ酸飢餓応答の主要な制御因子である。転写因子として機能し、アミノ酸合成に必要な複数の遺伝子を活性化する。近年、GCN2は脳の前梨状皮質(APC)においてeIF-2αをリン酸化することで、哺乳類の摂食行動も制御することが示された。この機能を制御する分子機構は不明であるが、ATF4と呼ばれる塩基性ロイシンジッパー型転写因子が候補として挙げられている。

参考文献

  1. Zaborske JM; et al. Genome-wide analysis of tRNA charging and activation of the eIF2 kinase Gcn2p. J Biol Chem. 2009, 284 (37): 25254-67.